top of page

秋田近代史研究会について

秋田県の近現代史を考える歴史研究団体です

本会は、1958年(昭和33)1月17日、秋田県内で近代史を研究していた教員や大学生及び大学院生ら若い7人が集い、お互いの情報交換と共同研究を目的に地方史の学会として秋田市内で発足しました。当時、中央で歴史学研究会や民主主義科学者協会歴史部会などが精力的に活動し、近世史では幕藩体制、近代史では自由民権運動に関して新たな歴史像を形成しつつありました。県内でも1952年(昭和27)に秋大史学会が発足し、会誌『秋大史学』を創刊しました。本会発足の前年には秋田県文化財保護協会が結成され、会誌『出羽路』を創刊しています。このような県内外の動向に触発され、秋田における近代化の過程を組織的に研究する学会を立ち上げることになりました。
秋田県の明治・大正期の歴史的究明を研究の主目的として発足しましたが、当初から広く近世史や現代史、さらには世界史の研究者の参加も受け入れました。また、教職以外の研究者にも門戸を開きました。本会を立ち上げた事情として、教職等の多忙さで研究から疎遠になり孤立しがちな状況で、研究を提携し組織化する目的がありました。会員の研究成果を発表することで相互に批判し教え合い共同研究の成果を高めることができると考え、基本的に年2回の研究会を現在に至るまで継続しています。会員個人また共同研究の成果は、会誌『秋田近代史研究』に発表しています。会誌は1958年(昭和33)1月にガリ版刷りの「研究通信」として創刊され、現在は通巻60号を間近にしております。また会員相互の連絡強化のため1967年(昭和42)5月から会報を発行し、現在180号にせまっています。
当会では、第一次共同研究の成果を1969年(昭和44)に『近代秋田の歴史と民衆』として刊行しました。第二次共同研究「秋田における資本主義の発達」は、残念ながら刊行物の形に結実しませんでした。第三次共同研究「秋田県農村社会の総合的研究」及び第四次共同研究「研究史でつづる秋田の近代史」は、それぞれ『秋田近代史研究』第35号及び第50号・51号・53号に特集の形で発表しています。
共同研究の他、1981年(昭和56)に自由民権百年記念秋田県集会を主催し、『秋田県の自由民権運動』を刊行しました。また、『秋田県史』近世編と近代編、県内自治体史の執筆に多くの会員が参加し、秋田の歴史研究の深化に寄与してきました。
発足当時は、戦後の急激な社会変容や町村合併による史料散逸が進んでおり、当会会員も地元紙に県立史料館(公文書館)設置の早期実現を求める論陣を張りました。一方、教職の会員が多かったため、夏冬休み期間を利用して県内の村方をまわり、史料収集を目的とした共同調査も行いました。当初は幕末から明治初年の農村、また自由民権運動に関する基礎資料を調査収集しました。その中でも、農聖石川理紀之助の文書群を整理し1959年(昭和34)から1961年(昭和36)に『石川文庫目録』を刊行したことは特筆すべき成果と言えます。また、佐々木金一郎文書や渡部斧松文書など、その後、県立博物館や県立秋田図書館を経て県公文書館に所蔵された史料を発見するなど、県内の史料保存利用運動への貢献は決して小さくありませんでした。
現在、会員数は県内外40人ほどで、会員層も当初の教職者主体から大きく変化しました。また、この60年の間、1993年(平成5)11月に秋田県公文書館、そして2017年(平成29)5月に大仙市アーカイブズが開館し、史料の保存利用環境も改善されてきました。また、会員の研究対象も近世史や現代史、体育史や音楽史さらにアーカイブズ学にも広がっています。現在は、春季(5~6月)と秋季(10月~11月)に研究会を開催し、会員以外の方の参加も受け入れています。

当会概要: ニュース
bottom of page